2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

その68 幻と出会う一冊。 

願いごとを聞き届けてくれる妖精は、どんな子どもにもいるものだ。しかしながら、自分でした願いを思い起こすことのできる人は、ごくわずかしかいない。だからまた、のちに自分の人生を振り返って願い事の成就をそれと認められる人もまれなのだ。 ――ヴァルタ…

その67 ひさしぶりとさよならのあいだで。 

いま、こうしてわたしの生活が西瓜糖の世界で過ぎてゆくように、かつても人々は西瓜糖の世界でいろいろなことをしたのだった。あなたにそのことを話してあげよう。わたしはここにいて、あなたは遠くにいるのだから。 あなたがどこにいるとしても、わたしたち…

その66 つまらない戦争の話。

戦争を描いた小説が苦手だ。 生と死が隣り合わせであることを身近に感じさせてくれる戦争、その最中にあっては無数の出会いと別れが生まれ、鮮烈な愛や憎しみと悲しみがやりとりされ、人生は実にドラマチックである。淡々とした日常を生きる僕らは劇的な物語…

その65 新しいマッチョのために。

18歳で実家を出てから、29歳になるまでのおよそ10年間、意識して男性優位主義を批判する思想を自己にインストールすることを課してきた私が最近感じるのは、もうこれ以上マッチョを批判する必要はないのではないか、という事である。国家を憂い、国のために…