その139 かっこ悪くなりたいと思ったときに読む本。
このところ痛切に思うのは、自分のマイナス要素の正しい表現方法は自分で学ぶしかないということだ。勉強ができる、勝負に勝てる、お金がもうかる、求愛される、世界中で必要とされる、そんな方法を教えてあげましょうとささやきかける人たちはいつの世にも沢山いると思うのだが、自分のどうしようもなくイヤな部分を表現しても人に迷惑をかけない方法を親身になって教えてくれる人を見つけるのは難しい。
でも、大人になって本当に必要なのはそういう才能ではないだろうかと思う。適度に人にバカにされながら、笑われながら生きる毎日のほうが、ほれぼれされながら生きる人生よりも健全だと思う。自分の正の評価のためにする努力と、じつは同じくらい負の評価のためにも努力が必要なのに、それに気づくのに私は時間がかかった。それでこうして、誰にともなく反省文を書き付けているというこじらせぶりだ。
お笑い芸人というのは「負の評価」を笑いに転じて芸としている人だから、学ぶところはある。けれども自分と欠点がぴったり同じ人というのはいないから、そのあたり勝利のルールが決まっている正の評価とは違う。自分の欠点の表現で明確な勝ち負けを判定されることはない。だから自分なりに自分の欠点に納得しつつ、周囲の人にそこそこ笑ってもらうという微妙な勝利を続けるしかないのだが、この大変さをもっと早く誰かに教えてもらいたかった。
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- 作者: 大泉洋,あだち充
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さて。本当に自分の欠点の表現をどうにかしたいと思っている人におすすめしたい本がある(本題)。それはAV監督の二村ヒトシ著『すべてはモテるためである』。話題のこの本、買うのがちょっと恥ずかしく、顔馴染みの書店さんに「資料っす」とか言い訳しながら切りもしない領収書を発行してもらって買ったのだが、それだけの価値はある本だった。
- 作者: 二村ヒトシ,青木光恵
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人は【心のふるさと】を持っていることで、恐れずに「相手と同じ土俵に乗りやすく」なれます。
心のふるさとを「ちゃんと持ってる」人、自分「何を好きなのか」「なにをしたいのか」わかっている人は、それを相手に押しつけなくても、自然と伝わります。
「自分には好きなことがあって、自分はそのことに誇りをもってるんだから、自分は大丈夫」という自信を、自分のなかにしまっといて、他人には(狙った女にすら)軽々しく自慢したりしないのが、かしこい人間の「誇り」なのです。
もしもあなたが首尾よく「かっこよくなりすますこと」に成功しても、「一見かっこよくても自分を持ってない男」のキモチワルさは、わりとすぐバレます。
「自分を持つ」というのが具体的になんのことだか、よくわからないから、とりあえずマニュアル本にある「かっこよさ」を追求してたんでしょう?
「【心のふるさと】を持ってる=自分の居場所を持っている」ということは「俺についてこい」とか、人と意見が合わない時に自分を譲らないことではありません。「エゴが強い」「我が強い」というのとは逆のことだと思ってください。
「自分の居場所」があると、自分と相手の関係性において、本当にいい状態がわかってくる、だから相手に優しくできるのです。
簡単でしょ? とは言いません。(中略)
好きなことを、自分で見つけてください。
【あなたの居場所】というのは、チンケな同類がうじゃうじゃ群れているところじゃなくて【あなたが、一人っきりでいても淋しくない場所】っていうことです。
なんだか唐突な語りになってしまったけれど、対人関係、というか対自分関係に悩んでいる人にとって、この本はほんとに名著だと思います。ぜひリアル書店で恥をしのんで買ってみることをおすすめします。(波)