その108 新年の目標。
暇なときにていねいな人づき合いや仕事ができるのは当たり前で、忙しくなったときにこそ、その人の真価が試されるってもんよ。大人なんだからあわてず騒がず、悠々やりたいもんだねえ。とつねづね言っていた同じ口が「すみません、今テンパっていまして……」と詫びを唱えつづけること三か月におよんだ。やらねばならないことを年内押し込んで、一息ついてみれば、省みて自らの言行不一致に赤くなったり、各方面に積み重ねた不義理の山の高さに青くなったり。
情けなさとみっともなさでとてもこの国にはいられまいと、正月、中国はシルクロードの入り口あたりまで逃げて、はるか西域、果てはインドかペルシャかローマかと望んでみたものの、恥ずかしながら戻ってまいりました。
シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
- 作者: アーサー・コナン・ドイル
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/04/12
- メディア: 文庫
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つまり人間の理性への信頼と、世界の多面性を受け入れることが、推理という行いの原点にある、とホームズは改めて教えてくれた。それは、読み手の日常もきっと幸せにしてくれるし、ビジネスにだって役立つ……気がする。
装丁が洒落ていることと、文章が読みやすいこと、必要十分な注釈がつけられていることもあって、光文社文庫の新訳全集は旅のお供にふさわしい。
今年は、ミステリーやエンターテインメントの読み進めに力を入れます。(藪)