その136 日本を愛したい人にすすめる本。
この頃、自分のなかで日本愛がちょろちょろと岩清水のように湧出しはじめた。それはまるで親の意思で無理矢理結婚させられた相手と暮らしているうちにこの人いいところあるかもと思い始めた全近代的夫婦の心境みたいなものかもれしない。しかし声を大に、というか本当はフォントサイズを大にしてタイプしたいのだが、日本で生まれたから日本が好き、とか福岡で生まれたから福岡が好き、とか思う人の大概は手近なところで自分の好きを処理しただけのおめでたい人ではないだろうか。俺は日本のここが好きなんです、私は福岡のこんなところにグッとくるんですと遣唐使に説明できるだろうか。別に説明できる必要はないかも知れないが、説明できると毎日をより安寧な心境で暮らせると思う。
- 作者: 鈴木大拙,上田閑照
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/04/16
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
いうにいわれぬ、なんだか曖昧模糊のうちに何か感ずるものがある、それを妙といいたい。
この一文を読んだとき、頭にギュリーンと電球の光る音が聞こえた。「ロマンシング・サガ」で必殺技を思いついた時に出てくるあの音である。このごろ自分が好きなもの。モヤモヤさまぁ〜ず、山口晃の絵etc.の魅力はこれだったのかという気がした。不完全なもの、時代とズレたものが生み出す美、一見ぱっとしない対象のなかにある面白味を見る姿勢を表現することばとして自分のなかにとどめ置きたいと思った。
- 作者: 山口晃
- 出版社/メーカー: 青幻舎
- 発売日: 2012/12/03
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
A wonderful,
wonderful,
and most wonderful, wonderful!
and yet again wonderful!
この言葉、音読してみるとなんとも言えずばかばかしくて良い。ちなみに最近私が「妙味」を強く感じたのは、仕事がえり、横浜のそごうで開催されていた山口晃の展覧会に行って見た「メカごこち スターウォーズをおもう」という水彩画である。「帝国紙しばい」という文字の横でダースベイダーが集まった子供のダースベイダー達にメカニックな紙芝居を見せているという絵で、その子供のダースベイダー達がなんともいえず可愛かった。手元の図録にはなかった絵なので、会期に間に合う方はぜひ見に行ってみてください。(波)
<山口晃展〜付り澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ〜>
4月20日(土)〜5月19日(日)
そごう美術館(そごう横浜店6階)
10:00〜20:00(入館は閉館の30分前まで)
会期中無休
大人1000円
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/13/0420_yamaguchi/
新潟市美術館に巡回(7月13日〜9月30日)
その135 誰よりも自分に薦めたい一冊。
小学生の頃は新聞記者になるのが夢で、大学時代には新聞会に所属しつつ新聞社でアルバイトをし、就職したら新聞印刷工場をめぐって輪転機が回るのをずっと見ていた私は、いまほとんど新聞を読まなくなった。家に届いた新聞を開くのは、週末に靴磨きをするときだけだ。日曜版の真ん中あたりにある書評記事の上にあぐらをかいて、茶色、黒の順で磨く。土曜日にやる場合には、朝日新聞土曜版「Be」のフロントランナーというインタビュー記事を読みながら磨いている。書評は書名だけチェックして中身まで読まないことも多いのだが、フロントランナーに登場する人はたいがい面白く毎週ついつい最後までめくって読んでしまう。
かくのごとく、新聞に縁の深い人生を送ってきたはずの私が新聞を読まなくなったのは、端的にいって金の匂いのする新聞に嫌気がさしたからなのだが、それでも週に一回は新聞を開いてしまうのは、まだどこか新聞のことが好きなのだと思う。
先週も、なにげなく日曜版の書評を眺めていたら、資生堂の名誉会長、福原義春さんが岩波現代文庫の『ご冗談でしょう、ファインマンさん』を薦めている記事が目にとびこんできた。この本のことは前々から気になっていて、でも極度の文系人間である私に物理学者の本など読み通せるだろうかという不安を抱いてずっと買っていなかった本だった。文庫なのに各巻1100円というのもけっこう高価である。
でも、今回はどうしても見過ごしてはいけないというソワソワした気持ちがやってきて、翌日の昼休みに神保町の三省堂に行って買い、すぐに読んだ。おもに楽しいエピソードを語った回想録なので専門的な知識がなくても読めた。そして読み終えて、自分が感じた焦燥感の正体がわかった。
- 作者: リチャード P.ファインマン,Richard P. Feynman,大貫昌子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/01/14
- メディア: 文庫
- 購入: 56人 クリック: 1,250回
- この商品を含むブログ (281件) を見る
- 作者: リチャード P.ファインマン,Richard P. Feynman,大貫昌子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/01/14
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 122回
- この商品を含むブログ (169件) を見る
私はこの頃、自分の言葉で人と話せていないような不安感を抱いていて、なんとかして自分の言葉を取り戻す、ないしは一から学び身につけて行く必要があると感じながら毎日を過ごしている。そんな自分の気分に、ファインマン氏の言葉が刺さりすぎるほど刺さった。
話す相手が誰であるかなど、ついぞ気にしたことがない。僕の関心があるのは、いつも物理学そのものだけだ。だから誰かの考えがお粗末だと思えばお粗末だと言うし、よさそうならよさそうだと言うだけの話で、いとも簡単だ。
僕はこの講演の最後に、誰も何も本当には理解していないのに、ただひたすら試験にパスし、次に来る者もまた試験にパスできるように教えるというこの自己増殖的なシステムの中で、いったいどのようにして真の教育ができるのだろうか、理解に苦しむばかりだ、と述べた。
どんなに広範囲の人間の意見であろうが、正確にそのものを見ていない人の意見などいくら平均してみたところで、正確な知識を得るためには何の役にも立ちはしないのだ。
諸君に第一に気をつけてほしいのは、決して自分で自分を欺かぬということです。己れというのは一番だましやすいものですから、くれぐれも気をつけていただきたい。自分さえだまさなければ、他の科学者たちをだまさずにいることは割にやさしいことです。その後はただ普通に正直にしていればいいのです。
ファインマン氏は、自分の頭でずっと何かを考え続けている。それは物理学のことだけでなく、かわいい女の人をどうやって口説くかということだったり、会社の機密書類が入っている金庫はどうやったら開けられるかといういたずらのことだったりする。けれどファインマン氏の行動にはいつも「何かを動かす力」をつきとめようという自然法則への良心的献身があるように感じる。
良心というのは言葉にすると簡単に見えるが、生きていくなかで行動に反映させようとするといつも摩擦抵抗がつきまとう。見過ごしたほうが人にほめられたり、お金をもらえたりすることがあるものだ。けれどファインマン氏が語るように、そうやって身につけた知識もお金も本当に自分のものになることはなく、ただただ流れさって空しいばかりだ。私はいま空しい感じを日々に抱いているから、あまり自らを欺かないよう、自分の言葉が見つかるまではしばらくこの本を手元に置いて生きようと思った。(波)
その134 憧れはBLのなかに。
三十を過ぎてこんなことを言うのも何だが、胸が欲しい。それというのも仕事でBLの棚ばっかり見ているせいだ。BL。もはやおしゃれな響きさえ感じるが今私はBLに影響を受け始めている。BLに出てくる男みたいになりたいと思うのだ。BLといえば聞こえはいいがつまるところホ○漫画である。ホ○漫画に出てくるみたいな男の胸板になりたい。むしゃぶりつきたくなるような胸板が欲しい。
そして続きがあるのなら (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
- 作者: 内田カヲル
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
そして出張から帰着するや否や、アマゾンで「ジスタス・スリムトレーナー」なるトレーニング用車輪を購入し毎晩バナナを一本食べて筋トレに励むようになった。この器具安くていいです。
TOEI LIGHT(トーエイライト) XYSTUS(ジスタス) スリムトレーナーTR H7218 腹筋ローラー 静音 組立不要
- 出版社/メーカー: トーエイライト(TOEI LIGHT)
- メディア: スポーツ用品
- 購入: 43人 クリック: 234回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
NightS (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: リブレ出版
- 発売日: 2013/02/09
- メディア: コミック
- 購入: 6人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
その133 フランスのちびまる子ちゃん。
高校生のころの愛読書はさくらももこの『ちびまる子ちゃん』だった。妹の本棚から抜き出して読むのがとても好きだった。社会人になって出張先の静岡を訪ねたとき、清水の商店街で、まる子の好物「甘なっとう」を買った。それを手に提げて、大部分のシャッターが閉まった清水の商店街を歩きながら、なんともいえない物哀しさを覚えた。それは、ちびまる子ちゃんの住む町はあの漫画のなかにしかないという当たり前の事実を実感した瞬間だった。
- 作者: さくらももこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1987/07/15
- メディア: コミック
- クリック: 34回
- この商品を含むブログ (69件) を見る
おなじような気持ちで、今愛読している漫画がある。かわかみじゅんこの『日曜日はマルシェでボンボン』という作品だ。かわかみさんは旅先で出会ったフランス人男性と結婚し、フランスに住み『パリパリ伝説』というパリ暮らしを描いたエッセイ漫画も書いている。
- 作者: かわかみじゅんこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/05/25
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
この漫画、著者の人々を観察する視線が、とても繊細かつユーモラスなところがちびまる子ちゃんに似ている。それはきっとどこにもないフランスの町なのだろうと思う。フランスのいいところ。人間の欲望に甘い国、フランス。リスクをしょって愛に生きる国、フランス。現実にあるディテールがなければきっと生まれなかった世界なのに、一度漫画としてひとつ世界が完成すると、それと同じものはこの世のどこにもないという不思議。誰かの頭の中で再構成された異国の町というのはとても魅力的だ。
私が好きな場面が一巻にある。クリスマスの季節、サンタクロースは本当はいないということをジュリエッタに知らせまいと気を遣う大人たちが、ふとしたはずみからプレゼントを買いに行ったことをジュリエッタの前でばらしてしまう。それに傷ついたジュリエッタは家を飛び出す。追いかけてきたいとこに「大人ってダメだね」と慰められたとき、彼女はこう言うのだ。「そうじゃないよ 信じなきゃ なくなっちゃうよ 何でも そうだよ」と。そして夜空を見つめるジュリエッタがほんとうにかわいい。この漫画の魅力が凝縮されているページだと思った。目の前にあるものがつまらないと感じがちな人に、キラキラした視線を守ろうとする努力の大切さを教えてくれる作品です。(波)
その132 おめでたい日に違和感を感じたときに読む本。
何十年も生きてきて、自分の幸せを疑わない人というのはたぶんいないと思う。それなりに幸せな人も、もっと幸せな人を見て嫉妬したり、いつか突然に訪れる自分の幸せの崩壊をぼんやりと予感して不安になったりするのではないかと思う。幸せはいつもさしあたっての幸せで、その幸せも幾多の不幸との比較対照によって成り立っているのでみんなが幸せになるなんてことは原理的にありえない。
それとは反対に、自分の不幸を疑わない人は無数に存在すると思う。大人だったら誰しも、これだけは譲れないという自分だけのダークマターのひとつやふたつを心に秘めているものである。不幸は不幸であるかわりにいままでもずっとこれからも不幸であることをやめはしないので、抱えているとなんだかとても安心する。
そんなことをぼんやり考えるのも、最近読んだ海外小説のアンソロジー『厭な小説』が気に入ったからだ。
- 作者: アガサクリスティー,モーリスルヴェル,ジョー・R.ランズデール,シャーリイジャクスン,パトリシアハイスミス,Agatha Christie,Shirley Jackson,Patricia Highsmith,Joe R. Lansdale,Maurice Level,中村妙子,深町眞理子,小倉多加志,田中早苗,高山真由美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/02/08
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
並の死骸ではない。ものすごい死骸だ。犬のやつは少なくともセミトレーラーに、たぶん二、三回は轢かれていた。犬の体が雨になって降りそそいだようなありさまだった。コンクリート一面に体の破片が飛び散り、一本の脚など道路の向こう側の縁石のところで突っ立っていて、ハローと手を振っているみたいに見えた。フランケンシュタイン博士がジョン・ホプキンス医科大学を卒業してNASAの力を借りたとしても、あいつをもとどおりにするのは無理だろう。
(ジョー・R・ランズデール「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」)
それにしても、いい本、心温まる本をこれはいい本ですって真剣に薦めると自分がまるで馬鹿みたいに思えるのに、厭な本をすすめるとなぜこんなに気持ちが安らぐのだろう。やっぱり私は性格が暗いか悪いかどっちかなのだと思う。両方でないことを祈るばかりだ。だから暗くも悪くもない人にはあまりおすすめしません。この世に溢れる幸せに触れるとなんとなく気分が悪くなる人には全力でおすすめしたい本です。
読んでどうなるかというと、きっと昨日までのあなたより不幸になります。(波)
その131 絶対に読んでください、と言われた本。
誰に薦められなくても読む本と、誰かに薦められなければけっして読まない本がある。単純にその本のことを知らなかったからというより、絶対に読んでといわれなかったら読まないような難しい本や、まじめな本がある。なるべくなら本は誰にも薦められずに読みたい。でも絶対に読んで、と言われたら、私はけっこう読んでしまうほうだ。
絶対に読んで、と言われた本がある。言われたその日に買って、そのあと一ヶ月間読まなかった。他に楽しい本が沢山あった。それでもやっぱり、あの人が絶対に読んでというのだから読もうと思って、もう一度その人に会う前の日、午前三時に目覚ましをセットして、仕事に行く前と外出中の移動時間にがんばって読んだ。読んで、絶対に読んでと言った人の気持ちがわかった。それは、面白いとか、よかったという気持ちとは別の何かだ。
『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』という本が、その本だ。東日本大震災直後、福島第一原発で原子炉にいちばん近いところにいた人々が、どんな風に事故に対応したかを描いたノンフィクションである。事故当時、福島第一原子力発電所所長だった吉田昌郎氏と、原子炉を操作する当直長だった伊沢郁夫氏のふたりを中心に描かれている。
- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/11/24
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 149回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
格納容器が爆発すると、放射能が飛散し、放射線レベルが近づけないものになってしまうんです。ほかの原子炉の冷却も、当然、継続できなくなります。つまり、人間がもうアプローチできなくなる。福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計二十基の原子炉がやられますから、単純に考えても、”チェルノブイリ×10”という数字が出ます。私は、その事態を考えながら、あの中で対応していました。だからこそ、現場の部下たちの凄さを思うんですよ。それを防ぐために、最後まで部下たちが突入を繰り返してくれたこと、そして、命を顧みずに駆けつけてくれた自衛隊をはじめ、沢山の人たちの勇気を称えたいんです。
さらにこの本を読むと、事故の現場にいた人たちの名前や出身地、生い立ちが書いてあるので、いわば事故の顔が見えるようになる。するとこの事故を他人の責任として糾弾することが難しくなる。何か特別な悪意があって、この事故が起きたのではないということがわかる。意識しなかったことが罪なのだ。だとしたら、地震が起きるまで福島第一原発の危険性について意識していなかった私が、誰かを責めることなんてできるはずがない。
著者はこの事故についてどう考えているか。冒頭にはこんな記述がある。
本書は原発の是非を問うものではない。あえて原発に賛成か、反対か、といった是非論には踏み込まない。なぜなら、原発に「賛成」か「反対」か、というイデオロギーからの視点では、彼らが死を賭して闘った「人として」の意味が、逆に見えにくくなるからである。
また結末にはこんな記述がある。
「全電源消失」「冷却不能」の事態に対処するためには、多額のコストが必要だ。利益を追求する原子力事業者には、難しい判断だったに違いない。
結局、日本では、行政も事業者も「安全」よりも「採算」を優先する道を選んだのである。それは人間が生み出した「原子力」というとてつもないパワーに対する「畏れのなさ」を表わすものだった。世界唯一の被爆国でありながら、その「畏れ」がなかったリーダーたちに、私はもはや言うべき言葉を持たない。
私はこのふたつの記述を象徴的だと感じた。原子力発電所というのは私たちの気持ちの内部にある拡大への願望が具体化した装置だと思う。だから、拡大への意志という恐ろしい力に対して、是非を問うても仕方がないし、どんなふうに距離をとってつきあっていくかを、それぞれが決めるしかないように思う。誰をリーダーに選ぶかということより、自分のなかの拡大意志とどうつきあっていくかの方が大事だと、私は思う。
この本を読んで、忘れられないエピソードを最後に挙げておきたい。この本の主人公のひとりである吉田氏は、事故発生時に現場へと向かっていく部下たちを「法華経の中に登場する”地面から湧いて出る地涌菩薩”」のイメージで見ていたという。彼はお寺めぐりが趣味で、若い頃から宗教書を読み漁り、禅宗の道元の手になる『正法眼蔵』を座右の書にして仕事場にも常に置いていたらしい。
耐えることが困難な極限状態にあって、人を支えたものが宗教思想だったということに、私はとても感銘を受けた。読みづらい本、誰かと話題にすることの難しい本であっても、自分をささえてくれる本を見つけておこう、そんな気持ちになりました。(波)
その130 残念という倫理を学ぶ。
いっとき海外ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」にはまってずっと見ていた。どこにはまったのかというと、四人の女主人公キャリー、ミランダ、シャーロット、サマンサが休日の朝に集まってごはんを食べながら強烈な下ネタを交えて自らの性愛体験を語る場面にである。さわやかな陽光と豪華な朝食、そしてそこにふさわしくない性愛談義。何をもって幸せとするかは各人次第だとは思うが、私はこのドラマを見てからというもの、マイ辞書で「幸せ」という項目の脳内リンク先にはキャリーたちが語らう場面が登録されている。
- 出版社/メーカー: CICビクター・ビデオ
- 発売日: 2002/07/19
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 87回
- この商品を含むブログ (85件) を見る
- 作者: 宮原るり
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2011/05/30
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 111回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
- 作者: 宮原るり
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2012/01/30
- メディア: コミック
- 購入: 9人 クリック: 81回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
シロ「よろしくルームメイト! お互い干渉せず 時々物理的に縛ってね!」
麻弓「くそ…… ちょっと下半身新品だからって調子に乗んなよ… あのさ… コンニャクは食い物だぞ?」
彩花「繊細って さやかよくわかんないけど 小枝チョコ的な?」
宇佐と律、ふたりの青春の恋愛というボケ状態に絶えずツッコミを入れる残念な住人たちの日常を見ていると、恋に対して子供でいるのがいいのか、大人になってしまうしかないのか、その間で揺れる自分がコマのなかに見える。恋に馬鹿みたいに溺れて、その後に自分の馬鹿さに気づいて、という自分の感情サイクルとどんな風につきあったらいいのか。その悩みに対する答えはたぶん、誰かと一緒に笑うしかないのだろう。
麻弓「おめーらは あれか 夕焼け青春模様か 焼け爛れろ! まさか どっかで乳くりあってたんじゃねーだろーな 焼け爛れろ!」
麻弓「なんだ お前ら 朝から何イチャこきやがってんだ? 朝からズボッと生テレビでスッキリ!!か 俺のとく種ズームインか」
つい恋に溺れがちな大人に、恋心の消炎剤として強くおすすめしたい作品です。(波)
- 作者: 宮原るり
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2012/08/30
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (27件) を見る